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(13)武島広秋 詰パラ2016-5

13 武島


71角、34玉、43飛成、24玉、36桂、同香、23と、同馬、

25銀、同桂、35角成、同玉、44龍まで13手


2016年の看寿賞が発表された。

短編は上谷直希氏作を予想していたが、私が選ぶベスト作品はこれである。

この作品が一般推薦でも選考委員の一次投票でも選ばれていないのを見て、ゾクゾクっとした。

「みんな見る目がない」などと言うつもりは毛頭ない。自分が選んだベスト作品がかすりもしなかったことに快感を覚えたのである。詰将棋の評価に正しいも間違いもない。


本作はまず「初手71角」の決め打ちから出発したものと思う。

理想的なまとめはフィニッシュに35角成の捨駒を入れることだろう。

遠打の意味付けは43飛成の捨駒を入れることで簡単に解決する。ただし、この時点で持駒に銀ぐらいを持たせることが必須だ。この持駒を作意でどう使うかが一番の課題になる。

2手目24玉の変化を見てみよう。36桂以下

①14玉、25銀、同玉、45飛、36玉、26角成(9手駒余らず)

②14玉、25銀、同桂、26桂、13玉、35角成(9手駒余らず)

③34玉、43飛成、同玉、44と、42玉、53角成、51玉、52銀(11手駒余らず)

どれも味がよい。34桂が絶妙の配置なのだ。

③の変化が11手かかるため、作意設定は最低13手必要になる。

一番驚いたのは、用済みとなった22とを7手目に捨てている点だ。普通、22とのような駒は盤上に残ったままになりやすい。この捨駒は次の25銀捨てにつながっていく。同玉なら23龍。22と捨ての効果である。

収束は理想通りの35角成で締めくくる。終わってみれば3手目からはオール捨駒ではないか。これはすごい。

詰め上がり図は無駄がない。23馬、25桂、36香は1回動いている点にも注目してほしい。作者自ら「最近の代表作」と自画自賛するのも納得できるであろう。


キャプチャ






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コメント

第一人者

現在の短編界の第一人者。常に高品質、洗練された手順と高密度の手順構成、極限まで推敲された構図で、解く者を魅了する。昨年は特に本作含めて素晴らしい作品ばかりでした。今後も楽しみです。

有吉さん

ノータイムで同歩ですね。赤羽ショックの再来、「武島ショック」でしょうか。有吉さんも負けないでください。

谷口氏の系譜

まあ私の事は横に置かせて戴きまして・・。
氏の作風は、谷口均氏に近いという感覚です。大駒を動かしながら形成する収束形で、さらに捨駒をして締めくくる・・。堪えられない解後感を与えるところと言ったらよいでしょうか。短編の醍醐味ですね。

有吉さん

武島作品の特長のひとつに「玉の移動範囲の狭さ」があると思います。本作もそうです。有吉さんが言うように、必然的に洗練された構図になり手順の密度も高くなる。勝手な想像ですが、作者はそこは常に意識して創作しているのではないかと。

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